三菱地所株式会社が運営するインキュベーションオフィス「0 Club」が、このたび2025年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。 「我慢をしないサステナビリティ」と「できるだけつくらないでつくる」をテーマに、既存素材の再利用や環境負荷の低いマテリアルの積極的な採用、制約をクリエイティブに転換するデザイン手法が高く評価されました。当施設では今回の受賞を契機に、Climate Tech分野のイノベーション創出を一層推進するとともに、カーボンニュートラル達成に貢献する、Climate Tech特化のイノベーション拠点としてエコシステムの形成に貢献してまいります。 「0 Club」は、CO2排出量の削減や地球温暖化への対処に焦点を当てた技術「Climate Tech(気候テック)」に取り組むスタートアップやVC、研究者、行政機関など気候変動対策に取り組む全てのプレイヤーが集い、カーボンニュートラル達成を目指すインキュベーションオフィスであり、多様なアプローチで脱炭素化に取り組む多様な企業・団体が交流する場です。 デザインのポイント1. 既存素材の再利用と環境負荷の低いマテリアル採用 内装はできるだけつくらず既存を転用し、どうしてもつくる必要がある箇所については環境負荷の低いマテリアルのみを使用しました。また、つくる際はできるだけ加工を単純化することで、使用するマテリアルを少なくし、将来リサイクルやアップサイクルしやすいように配慮しました。2. 環境対策という制約を楽しむデザイン 制約や不自由さをクリエイティブのトリガーと捉え、再利用やアップサイクルの手間を「工芸的な丁寧さ」として価値化。輸送コストや環境負荷も考慮しながら、コンクリート型枠を再利用した椅子やテーブル、竹と単管クランプを組み合わせた家具シリーズなどを制作しました。 3. 自然とコミュニケーションが捗るレイアウト 中央のラウンジから放射状に個室を配置し、その個室の間に仮眠室やフォンブースなどを分散して配置することで、施設全体を歩き回るきっかけをつくり、自然と周囲の情報が入ってくるようなレイアウトとしました。また、家具も用途や環境の変化に対応できるフレキシブルな仕様としています。 グッドデザイン賞審査委員による評価コメント本プロジェクトが掲げる「我慢をしないサステナビリティ」および「できるだけつくらないでつくる」という理念、そして環境負荷の低減を志向する姿勢には強い共感を覚えるものである。デザインには常に制約や条件が伴うが、それを乗り越える過程においてコンセプトはより力強さを獲得する。日本には、依然として十分に利用価値を有する建築ストックが数多く存在している。それらを丁寧に読み解き、活かし、魅力あるデザインへと昇華させる事例を示すことは、廃棄抑制に向けた能動的な行動を促す契機となるであろう。このような取り組みを広く公開し、多様な人々を巻き込みながら波及させていくことが、今後の持続可能な建築文化の発展に期待される。 グッドデザイン賞とは 1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。 詳しくはこちら本件に関するお問い合わせ先 三菱地所株式会社 イノベーション施設運営部 お問い合わせはこちら